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2021/01/16 『シックスハーフ』(少女漫画)

こんばんは、しらすです。

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『シックスハーフ』(少女漫画) 
 
 

集英社Cookie」にて2009年から2015年まで連載されていた、池谷理香子さんの作品。

バイク事故で記憶喪失になった高校2年生の詩織と、その家族の物語です。

 

物語は、病院のベッドで詩織が目を覚ますところから始まります。

ベッドの脇には、自分の知らない人達が騒いでいる姿が。リーゼント姿のヤンチャそうな男子高校生が、気の優しそうな黒髪の男性(20代くらい?)にひたすら謝っているのと、その様子に微塵も興味なさそうな中学生くらいの女の子が静かに本を読んでいる。

 

一同は詩織が目を覚ました事に気がつき喜ぶも、詩織の様子がおかしい事に気づき、そこで記憶喪失になっている事に気づきます。

 

詩織は、この気の優しそうな男性が自身の兄・明夫で、中学生の女の子は妹の真歩、両親はおらず現在はこの兄弟3人で一つの家に住んでいる、という事を知らされます。

ちなみにリーゼント姿の男の子は、事故の少し前から付き合い始めた詩織の彼氏だということも。

 

この自分のことが何もかも分からない突然の状況から、記憶を失った少女とその家族の物語がスタートしていく…という始まりです。

 

 

記憶喪失前の自分は相当荒れていたらしく、学校では影で「ビッチ」や「援交」などといった悪い噂をささやかれ、また妹の真歩も、記憶喪失前の自分に相当な事をされたらしく、「話すと腐った根性が伝染るから」と自分に対しあからさまな嫌悪感を示していきます。


ですがそんな中、記憶喪失でからっぽな自分にも家族として暖かい愛情を注いでくれるのが兄・明夫でした。

そんな兄の存在もあり、詩織は次第に、過去の自分をリセットして新しい"菊川詩織"として生きていくことを決意します。


ところが…兄として、自分の保護者として接してくれている明夫に対し、次第に芽生えてしまう恋心に似たような感情…。

 

そして、断片的に蘇ってくる過去の記憶…自分の事をこんなに溺愛してくれている兄だけど、過去の自分と何かがあった…?でもその何かが思い出せない…!!

 

自分はなぜ荒れていたんだろう?こんなに良い家族なのに、その家族に対してなんで強くあたってたんだろう?なぜ?なぜ?

 

過去の自分と家族の間に一体何があったのか?

そして過去の自分の記憶を取り戻してしまったら、今の自分の存在はどうなってしまうのか?

 

終始謎がただようミステリー要素も含んだ、一味違う少女漫画がこの『シックスハーフ』という作品なのです。

 

 

この作品は、過去の記憶が全くないところから徐々に真実が徐々に明らかにされていくという「記憶喪失ならでは」のギミックがとても緻密で、それがまるで主人公の心情を追体験しているかのようなハラハラ感を生み出しています。

自分は全く覚えていないけど、周囲は全員覚えている…自分のことのはずなのに自分だけ知らない、というのはとても奇妙な感覚ですよね…。

 

また、主人公の周囲の人物にもそれぞれの事情があって、彼らは過去の詩織とどう過ごしてきたかを全て覚えているからこそ、何も覚えていない詩織に対して戸惑いや憤りを感じてしまいまうのですが、この辺りの登場人物の感情の機微も繊細に描かれていて、思わず感情移入してしまいます。

 

 
ちなみにタイトルの『シックスハーフ』の意味ですが、作者の池谷さんのインタビューで下記のように述べられていました。
 
“シックス ハーフ”というのは靴のサイズなんだけど、記憶=中身がないとわかっていても、同じ体で歩んでいかなきゃいけない。そういう意味がこめられているんです。

 

靴のサイズ(=体)は記憶喪失前も後も変わらない。

その体で人生を歩んでいた中身は無くなってしまったけれど、これからもまた同じシックスハーフの靴を履いてその人生の続きを歩んでいかなければならない…という感じでしょうか。
 
過去のトラブルメーカーだった自分が行ってきた事は、記憶を失った自分にとっては他人事だけど、その自分と関わってきた周囲の人物にとっては無かったことにはならない。
だからこそ、学校での噂や家族とのギクシャクした関係も、自分の事として向き合っていかなければならないんですよね…。
正直、もしいざ自分がこの状況になったら、果たして過去の自分と向き合えるのか?正直わからないところです。笑
 
その点主人公の詩織は、記憶を失っても前向きに、自分の今の気持ちに正直に人生を突き進んでいっていて、その「生きる強さ」というものに、他の少女漫画とは一味違った主人公のカッコよさを感じました。
「性格が良くて可愛い誰からも愛されるヒロイン」という少女漫画の枠にハマらない人物が主人公だという点も、他の少女漫画とは一味違ったアンニュイさやリアルさを引き立てているポイントのひとつと言えるでしょう。
 
いわゆるキラキラしたストーリーとは違ったものをたまには読んでみたいな、という方にぜひおすすめの作品です。
 
 
ちなみにマンガアプリでは、集英社の「マンガmee」で全話読めます。
 
 
 
では、また明日。